FIP治療の現在地とAHBの取り組み

FIP治療の現在地とAHBの取り組み
飼い主様とワンちゃんやネコちゃんが
安心して暮らしていけるための医療活動・啓蒙活動

当社では、子犬・子猫の特定の遺伝子病を無くすため、
2014年よりブリーダーさんの親犬・ 親猫に対する遺伝子病検査の実施と
遺伝子病発症リスクが低い個体での繫殖の推奨を行ってきました。
さらに、2019年3月からは子犬・子猫の全頭遺伝子病検査を実施しています。

そして、長年“不治の病”とされてきたFIP (猫伝染性腹膜炎)におかされてしまったネコちゃん対しても、
当社の獣医師と看護スタッフが積極的に治療・看護に努め、 関内どうぶつクリニック代表の牛草貴博氏、
動物医療センターもりやま犬と猫の病院院長の淺井亮太氏の監修のもと、完治を目指して取り組んでいます。

FIP(猫伝染性腹膜炎)とは

FIP(猫伝染性腹膜炎)の原因は猫コロナウイルス(※1)です。
猫コロナウイルスには、猫に対してほとんど病原性を示さずに腸管内に存在する猫腸コロナウイルスと強病原性の猫伝染性腹膜炎ウイルスがあり、多くの猫が猫腸コロナウイルスに感染しているとも言われています。
猫腸コロナウイルスの一部が猫の体内で突然変異を起こし猫伝染性腹膜炎ウイルスになった結果、FIPを引き起こします。
猫腸コロナウイルスが猫伝染性腹膜炎ウイルスに突然変異する原因は不明ですが、ストレスや免疫力の低下が関与しているのではないかと考えられています。

  • 猫コロナウイルスは、COVID-19とは異なるウイルスです

FIPの症状とこれまでの一般的な治療法

初期の症状は、食欲不振、発熱、嘔吐、下痢など他の病気の症状と区別がつきづらいですが、消化器系の異常の他に、腹水や胸水がたまってくるウェットタイプと腎臓や肝臓にしこりを形成したり脳内の炎症による神経症状を引き起こすドライタイプがあります。

これまでの一般的な治療法としては、病型により免疫抑制剤やインターフェロンが使用されていましたが、完治に至るような確立された治療法はなく、発症するとほぼ亡くなってしまう“不治の病”とされてきました。また、国内ではFIPを予防するワクチンもありません。

COVID-19治療薬がFIP完治の希望に

COVID-19の流行により、世界中の製薬会社が様々なコロナ治療薬を開発し、一部がFIPの治療薬として用いられるようになりました。当社も2021年秋ごろからFIP治療への有効性を検証するために、各分野の獣医師や医療機関との連携を開始しました。現在では、FIP特有の症状が消失し元気を取り戻すネコちゃんが増え始め、当社の獣医師・看護スタッフが常駐する当社ウエルネスセンター内診療所にて慎重に経過を観察しています。

不幸にも“不治の病”におかされてしまったネコちゃんたちとご家族様に”希望”をご提供するべく、引き続き全力でFIPの治療法の確立と標準化、エビデンスの構築に尽力してまいります。

お届け後の命へも責任を果たすため、FIP治療提供を開始

当社では、ネコちゃんがお引渡し後1年以内にFIPと診断された場合には、返金を含めた補償をさせていただいておりました。
しかし家族として迎えたネコちゃんが不治の病にかかるご家族の心労、治療の選択肢がほぼないネコちゃん自身の過酷な状態まではサポートすることはできておりませんでした。

私たちAHBは「動物と人間の幸せな共生社会に貢献すること」をミッションに掲げています。有効性が期待される治療法が検証されている今、ご家族の未来が失われないよう、お引き渡し後のネコちゃんであっても、ご希望に応じてお引き取りしたうえで、当社ウエルネスセンター内診療所にてFIP治療を行わせていただきます。

治療の結果、FIP特有の症状が消失し元気と健康を取り戻したネコちゃんは、再び家族としてお迎えいただくことができます。再び家族としてお迎えを希望される方には、ご希望に応じて治療の経過をご家族様と共有し、共に不治の病を乗り越えていけたらと考えております。

まだまだ一筋の希望に止まる状況ですが、私たちは、ネコちゃんたちの尊い命がある限り、希望を持って挑み続けます。