純血種のみを取り扱う理由と想い

純血種とは、単に血統を示すものではありません。
「どのようなケアが必要か」「どのような特性を持っているか」といった、
世代を超えた積み重ねがあることの証でもあります。
当社は、純血種のみを扱うペットショップです。
ワンちゃんたちが健やかな一生を送れるよう、純血種として受け継がれてきた多くの積み重ねをもとに、
犬種ごとの個性や文化を未来へつなぐことを使命としています。
人と犬の歴史に刻まれた、純血種という文化遺産
人間と犬との結びつきは、数万年という長い時間の中で育まれてきました。
狩猟の時代には猟の相棒として、農耕社会では家畜や家を守る存在として、犬は人間の生活に寄り添い続けてきたのです。
そうした歴史の中で、人と犬は互いに影響を与え合い、まさに“共に進化してきた”存在といえるでしょう。
純血種とは?
犬種を文化として育むことのはじまり
18〜19世紀のイギリスでは、社会の安定と余暇文化の広がりとともに、「犬を労働力として使う」だけでなく、「犬種を趣味や文化として育む」という新しい価値観が芽生えます。
当時のイギリス貴族や上流階級は、狩猟や競技、社交の場において犬を重要なシンボルとしました。フォックスハウンドやグレイハウンドはキツネ狩りや競技のために洗練され、セターやポインターは鳥猟に適した形質を保つよう改良されていきました。また、宮廷では小型の愛玩犬が人気を集めます。たとえば、チャールズ2世が愛したトイ・スパニエル(※)や、中国から伝わったパグなどが流行し、やがて愛玩犬種として固定化されました。後のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

ケネルクラブが形にした「純血種」という文化
犬種の文化がはじまり、こうした動きを体系化したのが、1873年に設立されたケネルクラブ(The Kennel Club, KC)です。KCは犬種ごとの“スタンダード(犬種標準)”を初めて明文化し、血統を登録・管理する仕組みを整えました。これにより、犬は単なる役割を担う存在から、文化や伝統を体現する「純血種」という概念へと位置づけられていったのです。犬種ごとのスタンダードが定められ、健康的で安定した形質を保ちながら繁殖が行われたことで、今日、私たちが知る多様な純血種が存在しています。
犬種を守るということ
“犬種を守る”という営みは、単に血統を維持するためのものではありません。そこには人と犬の歴史、そして文化そのものが刻まれています。たとえば、柴犬には日本人との暮らしの中で培われた忠実さが息づいています。
犬種ごとの個性や文化は、純血種という形で未来に受け継がれます。
つまり、純血種を守ることは“犬という文化財を未来に残す”ことにほかなりません。
- 犬種が育んできた個性と役割の例
-
- ボーダー・コリー
- 役割:牧羊犬として
- 個性:羊を巧みに追い込む知恵と俊敏さ
- セント・バーナード
- 役割:雪山での救助犬として
- 個性:人命を救う勇敢さ、辛抱強さ
- 柴犬
- 役割:日本人の暮らしに寄り添う狩猟犬として
- 個性:自立心の強さ、忠実さ
- ボーダー・コリー

純血種が持つ「信頼性」と「安心感」
純血種のもう一つの大きな価値は、予測可能性にあります。ワンちゃんを迎える際、多くの人が重視するのは「どんな性格か」「どのくらいの大きさになるのか」「どのようなケアが必要か」という点です。純血種であれば、長年の繁殖と記録によって、それらが比較的明確に予測できます。
こうした特性が受け継がれてきた背景には、犬種標準(スタンダード)に基づいた繁殖管理があります。それによって、人々は安心してワンちゃんを迎えることができるのです。これはまさに“文化的蓄積”と呼ぶべきもので、世代を超えて積み重ねられてきた人とワンちゃんとの信頼の証です。
また、ワンちゃんの血統を詳しく知りたいときは、「血統証明書」が役立ちます。ワンちゃんの両親が血統登録されていれば血統を遡って確認でき、また、登録申請を通じて新たに血統証明書を取得することも可能です。血統証明書について

ミックス犬の魅力とその影に潜むリスク
一方で、近年は「ミックス犬」と呼ばれる犬たちも人気を集めています。
個性的な外見や「両方の良いところを受け継ぐかもしれない」という期待感から、可愛らしい存在として注目されることも少なくありません。
実際に、保護犬や自然な雑種の中には魅力的な個体も多く、人に寄り添う伴侶として立派に役割を果たしています。
しかし、計画的に作出されるミックス犬には注意すべき点もあります。
- 飼育や家計に負担が生じるケース
-
特に、性格や体格が大きく異なる犬種同士を掛け合わせる場合、その結果は予測が難しくなります。
例えば、小型でおとなしい性格のワンちゃんと、大型で活動的なワンちゃんを掛け合わせた場合、成長後の体格は予想外に大きくなることがあります。飼い主が“小さめの子”を想定して迎えたにもかかわらず、結果的に大型犬に近いサイズとなり、飼育環境や経済的な負担が大きくなるケースも少なくありません。 - 性格が変化するケース
-
性格面でも問題が生じることがあります。番犬気質の強い犬と、家庭犬向きの温和な犬を組み合わせた場合、どちらの気質が強く出るかは生まれてみないとわかりません。子犬の頃は大人しかったとしても、成長の過程で急に警戒心が強くなったり、反対に落ち着きがなくなったりすることもあります。これは家族にとって大きな戸惑いを生む要因となりかねません。
- 健康にリスクが生じるケース
-
健康面では、必ずしも親犬の良いとこ取りになるわけではありません。親犬がそれぞれ抱える遺伝的リスクが、子に重なって現れる可能性もあるのです。純血種であれば長年の繁殖データをもとに遺伝病への対策が進んでいますが、ミックス犬の場合はその記録が乏しく、将来どのような病気を発症するか予測が難しいという現実もあります。
責任をもって「文化」「安心」「健康」を未来へ繋ぐ
純血種とミックス犬のどちらが“良い・悪い”という単純な話ではありません。大切なのは、それぞれの背景や特性を理解し、責任ある選択をすることです。
私たちは純血種のみを扱うペットショップとして、長い歴史の中で培われてきた、犬種ごとの個性や文化を未来に受け継ぐことを使命としています。犬種は単なる見た目の違いではなく、人々の暮らしや知恵・地域の歴史が凝縮された“生きた文化財”です。
さらに、純血種には世代を超えて蓄積された繁殖データや健康情報があり、それをもとにした繁殖管理によって、遺伝的リスクに配慮したワンちゃんとの出会いを実現できます。これは飼い主様にとっての安心につながるだけでなく、ワンちゃん自身にとっても、健やかな一生を送るための大切な基盤となります。
純血種の保全を通じて、私たちはお客様に安心と信頼、そして人とワンちゃんとの豊かな関係を次の世代へとつなげてまいります。
















