お知らせ

アドバイザリーボード第5,6回会議のご報告

■開催概要

株式会社AHBでは、生体販売を行う企業としての社会的責任を果たすために、繁殖引退犬猫やハンディキャップを持つ犬猫と新しい飼い主との出会いをコーディネートする、パートナードッグ&キャットプログラムを実施しています。弊社では、本プログラムに対する社会の声を聴き、適切な運営を行うために、本プログラムに対するアドバイザリーボードを設置しています。

第5回は、アドバイザリーボードから弊社にご提出いただく提言書、 『株式会社AHBに対する提言書~人とペットが共生する未来の日本社会のために~』 の内容についての討論を行いました。また、第5回から第6回の間にかけて、メールやオンラインの場において、提言書の内容に関する議論を深める機会を持ちました。

最終回である第6回では、弊社より、これまでのアドバイザリーボードの成果およびこれからの取り組みの展望について発表しました。アドバイザリーボードからは弊社に対する提言書をご提出いただきました。最後に、各アドバイザーからAHBに対し、各専門的見地からのご助言をいただくためのプレゼンテーションを実施しました。

■開催日時

第5回 : 2021年10月21日 13:00~15:00

第6回 : 2022年 5月19日 14:00~16:30

■開催場所

株式会社AHB 本社会議室 (東京都江東区木場三丁目7番11号)

■参加者一覧

アドバイザー 浅野 明子 氏  井島 七海 氏  今本 成樹 氏

       奥田 順之 氏  上山 琴美 氏  安野 舞子 氏※第6回はご欠席

ファシリテーター 水谷 香織 氏

主催・事務局

株式会社AHB 長谷川 龍太  森 兵衛  源本 正樹 谷 美也

アニコム損害保険株式会社 徳永 繁郎

■アドバイザリーボード実施による成果報告

 第6回会議では、弊社よりアドバイザーの皆様に対して以下のような情報提供を行いました。

(1)パートナードッグ&キャットプログラムの実施状況について

2022年4月までに、パートナードッグ&キャットプログラムでのマッチングの累計頭数は589頭となりました。全国の店舗でマッチングを行っており、月間30~50頭程度のパートナードッグ&キャットの安定的なマッチングを行える体制が確立されました。

(2)パートナードッグ&キャットプログラムの沿革について

2018年8月よりスタートした、ブリーディング卒業犬猫の受け入れ・マッチングは、以下のような経緯を経て、パートナードッグ&キャットプログラムとして確立され現在に至っています。

アドバイザリーボードでは、パートナードッグ&キャットプログラムの範囲を超えた多くのアドバイスを頂き、プログラムの進化、および、経営判断の後押しとなりました。

(3)スタッフからの声について

本プログラムに対する現場スタッフからの意見をご紹介しました。以下のような声を頂いております。代表的な2人の店長の声を紹介します。

ペットプラス千種店 店長 鈴石 千尋

今までお迎えされたお客様の中には、飼うなら保護猫が良いと思っていたという方や、ご高齢のお客様は、飼いたいけど子猫から飼うと自分のお世話できる限界があるから成猫が迎えられたら、という思いで機会を探されていたお客様も多くいらっしゃいました。本プログラムによって、本当の意味での「迎えたかった方の元につなぐ」ということが出来ているんだということを強く実感しました。お迎え頂いたお客様の中には、お店でも見せなかった姿でのお昼寝風景や、お子様・先輩猫とのツーショットなどの素敵な姿を動画やお写真で見せてくださいます。気軽に立ち寄って頂き、その後の姿が見られることはとても嬉しいです。これからもパートナーたちに素敵なご縁をつないでいきたいと思います。

ペットプラス相模原店 店長 片口とも子

子犬子猫とは違い、大人の犬猫であるパートナードッグ&キャットのマッチングは初めての取り組みだったため想定しきれないこともありました。私達の力だけでなく、様々な分野で活躍していらっしゃる方々からの貴重なご意見・アドバイスをいただけた事によって、お客様へのご案内をより安心しておこなう事が出来るようになりました。そして、たくさんのお客様にパートナードッグ&キャットを紹介することができ、たくさんの笑顔をお客様から頂くことができました。それが私たちにとってもこの上ない喜びになりました。これからも、パートナードッグ&キャットが幸せになれるように取り組みを盛り上げていきたいと思います。沢山のお力添えありがとうございました。

(4)今後の展望について

弊社では、これまでのアドバイザリーボードの議論を踏まえ、今後以下の取り組みを実施していきます。

1. 他企業・団体との連携・支援活動

パートナードッグ&キャットプログラムで作り上げた仕組みとノウハウを活かして、以下の3点について、重点的に取り組みます。

①生体販売ではないお迎え形態の拡大・選択肢としての定着を目指す
 Partner Plus店舗の積極的な展開、持続可能な活動としての収益の確保
②ケアセンターで培った成犬猫の心身のケア・管理方法を有効活用する
 保護団体のシェルター、サロンへの管理スキル・医療の提供
③動物専門学校との連携・取り組みを強化する
 次世代のペット業界を担う人材の情操教育、業界の変革への土壌づくり

2. 店頭展示ではない出会いかたちづくり

アドバイザリーボードの中で、繰り返し助言いただいた、店頭展示ではない出会いのかたちについて、具体化するための『Baby Plus』を始動いたします。 『Baby Plus』では、WEBプラットフォームを用い、子犬子猫の写真、動画、詳細な情報や成長過程の記録を掲載することで、ブリーダーにおける育成の透明化を図ります。また、親犬・親猫の写真や情報のほか、ブリーダー様からいただく生活環境の情報なども可能な限り掲載します。こうした情報を飼い主様にオンライン上で提供し、店頭展示販売ではなく、予約販売の実現を目指します。

■株式会社AHBに対する提言書
 ~人とペットが共生する未来の日本社会のために~

第6回では、アドバイザリーボードのから弊社に対し『株式会社AHBに対する提言書~人とペットが共生する未来の日本社会のために~』が提出されました。

提言書の内容に関しては、リンクのPDFをご確認ください。

【概要版】株式会社AHBに対する提言書~人とペットが共生する未来の日本社会のために~

【全文】株式会社AHBに対する提言書~人とペットが共生する未来の日本社会のために~

各アドバイザーよりAHBに対する助言

各アドバイザーより、提言書を提出した上で、最終的な助言として、各専門的見地からのプレゼンテーションを行いました。ここでは、助言の概要について紹介します。

浅野明子氏
今回のアドバイザリーボードの取り組みは、2019年の動物愛護管理法改正を受けて始まったものでした。今後も継続的に動愛法の改正は行われていきます。動愛法は、他の多くの法律と違い、議員立法です。議員立法の特徴は、超党派議連での全員賛成が必要なことです。 環境省の動物愛護管理室は、愛護団体や業界団体など、様々な団体から意見を聞いています。AHBからは、業界のリーディングカンパニーを目指すという姿勢を、アドバイザリーボードの中でも幾度となく示していただきました。是非、生体販売に関わる他企業とのつながりを深め、リーディングカンパニーとして、業界内の議論をリードし、業界としてより良い生体販売を目指すための意見表明を行って頂きたいと考えています。今後は、動物取扱業については、一種と二種の差が小さくなっていくと考えられます。一種であれ二種であれ、動物の管理のレベル、飼い主指導のレベルはまちまちです。違いがなぜ生まれるかと言えば、『プロ意識』ではないでしょうか。社員のプロ意識を育てることこそが、AHBのブランド、AHBに対する安心感を醸成します。郊外の小店舗でも、都心の大規模店でも、社員が同レベルで、同じ知識を持っている。現場の社員の一人ひとりのモチベーションが持続し、誇りを持てるというのが一番大切な事だと思います。 株式会社の目的は、本質は、利益追求ではありません。事業が継続、存続することにあります。社会的に意味のある組織だと認めてもらえないと存続することはできません。もちろん営利目的の組織ですから利益も追求しますが、社会から存続してもらいたいと言われるような企業になっていただきたいと考えています。

井島七海氏
現在の社会では、社会が求めるペットショップの健全化の方向と、消費者が期待するペットショップ像が必ずしも一致していません。そのため、健全化を進めるということは、現状の消費者に迎合するのではなく、消費者側の意識変容を促すという側面もあることを意識しなければなりません。その上で、AHBにこれから期待することは以下の4点です。

 1点目は、ブリーダー評価を行うこと、そして、AHBが設定する基準を満たした優良ブリーダーの支援を積極的に行うことです。

 2点目は、新たなマッチング方法の創出(子犬子猫の展示販売中止・成犬成猫中心の譲渡店舗など)です。様々な業界でDXによる変化が起きていますが、新たなテクノロジーを活用したマッチング方法に取り組んでいただきたいと考えています。

 3点目は、社員教育・お迎えフローの再考と、飼主教育の新たな手法の開発です。犬猫とのマッチングを行うペットショップは、飼い主にとっての身近な専門家です。充実した飼い主教育に取り組んでいただきたいです。

 4点目は、生体販売事業からペットライフ事業への転換です。生体販売だけで利益を出すのではなく、その後の犬猫との生活の中で起こる様々な課題に対して、商品・サービスを提供することで、ペットライフを支える存在になっていただきたいです。

 これらの変化を後押しするため、アニマルウェルフェアチームの設置と、他分野の企業との連携を図る事を提案します。アニマルウェルフェアチームを社内に設置し、社内に動物福祉に関して知見を持つスタッフ・部署を置くことは、他者との大きな差別化になります。さらに、他分野の企業との連携を踏めることは、生体販売に限らない視野を拡げる事になります。SDGs、ESG経営の意識が拡がりを見せる中、アニマルウェルフェアという社会課題に挑む部分で、協業を模索されることを期待します。

今本成樹氏
 2022年6月からペットのマイクロチップの義務化がはじまりました。獣医師からみると、「迷子動物が運ばれてきても獣医師が直接所有者の検索できない」「既存のものとの二重登録となる」など、様々な問題を抱えています。これを適正化して運用していくには、省庁を超えた動物管理の仕組みを作る必要があります。新たな社会制度をつくるとき、民間のリーダーシップも必要とされます。
 AHBにはペットショップ、ペット業界という枠を越えて、リーディングカンパニーとして、総合商社となることを期待します。困っている人に、手を差し伸べることをやっていただきたいです。
 AHBがリーディングカンパニーとしての役目を果たすために取り組んでいただきたい事は2つあります。一つがスタッフを教育するということ、もう一つが犬猫の繁殖・流通を担う企業として、専門的な研究を行い、エビデンスとなる論文を出してほしいということです。
 ペットショップの販売員は、ペットの専門家です。専門家として、しっかり飼い主さん教育をしてあげられるような知識を身に着けてもらいたいです。飼い主教育は、社会的な課題の一つです。現場スタッフへの教育がしっかりしていることは、ペットショップ事業が社会に受け入れられるために必要な事です。
 私自身は、遺伝性疾患について、長らく追究しています。折れ耳のスコティッシュフォールドが問題視されていますが、これは、骨軟骨異形成症候群という遺伝性の病気であると指摘されています。当然、病気の猫を販売するべきではありません。
 こうした遺伝病については、まだまだ研究が追いついていない面があります。AHBは多くの子犬子猫を扱い、親犬親猫の状況を把握できる企業です。その強みを活かして、遺伝病に関して、積極的に研究を行っていただきたいと考えています。また、そうした研究は、社内にとどめるのではなく、査読のある学術誌などに発表し、意見やデータを論文として出していくことはとても重要です。ブリーダーと繋がりがあるAHBこそが、先陣を切って取り組んでいただきたいです。

奥田順之氏
 ちょうどこの会議の後、ひとり暮らしの飼い主さんが入院され飼育継続が難しい11歳の柴犬を引き取りに行きますが、こうしたニーズは、社会に沢山存在します。企業が社会に価値を提供し、存続するためには、困りごとに寄り添い、社会的ニーズに応えることが必要です。
 AHBはペットに関わる企業ですから、飼い主さんの困りごとに寄り添うことが大切です。企業として、ニーズに応えてほしいです。高齢者の飼育困難への対応は、現在は一見、経済的に難しいように見えますが、経済的に回る仕組みを考案して、社会を担っていく事が企業の使命であると考えます。
 そのほかにも、お金にならないかもしれないけれど、困っている飼い主さんがいらっしゃいます。精神疾患など生きづらさがあり、多頭飼育に陥っている方。非常に強い問題行動でケージから出したり、触れることができない方。災害時にペットがいることで、避難ができず、危険な場所に留まってしまう方。こうした方の困りごとに応え、時代背景によって変遷する社会課題に、柔軟に応えていくことができる組織こそ、社会に必要とされる、持続可能な組織であると思います。
 ペットショップの存在意義とは、ペットを必要な家庭に届けることにとどまりません。人と犬猫は、1万年以上も前から関わってきました。社会の中で人とペットが関わる中で起こる様々な課題全てが、ペットショップの担うべき課題であると考えてもいいのです。課題解決こそが経済の中心になりつつある今、ペットショップの概念を広げて考えると、可能性は無限大にあるでしょう。

上山琴美氏
 私は、社会福祉に携わる立場から、理想的な人と動物の共生社会の理想像は、NPOや行政や市民などと連携した地域セーフティネットが構築されている状態だと考えています。
 当会では現在、茨城県つくば市をモデルに、動物の見守りサポート体制を作りたいと思っており、東京都大田区における支援が必要な人を見守り支え合うネットワーク「みま~も」の事例を参考に、市民の方々との勉強会を実施しています。こうした支え合いのネットワークの中に、動物福祉の面からペットショップが参画し、できることを担っていくという事が重要だと考えます。
 ペットショップは、「ペットを手に入れる場所」から、地域の人にアウトリーチし、「ペットの困りごとを相談できる頼りにされる存在」に変化していくべきです。そして、最終的には地域になくてはならない「ペット包括支援センター」の一翼を担う存在になることが理想だと考えています。ペットショップが人や動物の全ての福祉まで担うことをイメージしている訳ではなく、地域の行政、福祉、NPOなどと連携して、ペットショップが産業という立場で入り、どのようにやっていけるかという部分から、様々な関係者と相談しながら作っていけると良いと思います。
 今、ペットショップには厳しい目が向けられています。社会に受け入れられる、必要とされる存在になるためには、日本の動物福祉を自ら進んで体現していく姿勢が試されるのではないでしょうか。動物福祉が守られた犬猫の生涯とは、良質なブリーダーから迎え、適切に育て、亡くなるまで飼い続け、生涯良い生活を提供できるかどうかです。そのためには、飼い主に対する生活支援、困りごと解決を提供することが必要です。現在は、フード購入、保険加入というビジネス面でのサポートをする組織はありますが、お金にならないサポート、例えば、相談援助、社会資源に繋ぐことなど、細かい網の目のライフサポートが必要な社会になっていきます。そうした部分を自ら担っていく姿勢を期待します。
 より具体的な第一歩としては、サービスを提供するというよりは情報収集やネットワークづくりから行っていくべきでしょう。社会福祉に関わる専門家とのカンファレンスや協議会などに積極的に参加したり、自ら開催するなどの取り組みを行っていくとよいでしょう。
 
安野舞子氏
 今後の動物愛護管理法の改正について、2019年の改正の附則については、犬猫以外の動物種に関する記載が多く見られています。また、衆議院・参議院の付帯決議では、犬猫に関することの記載はなく、実験動物や動物虐待等に関する記載が多くみられます。今後の法改正については、これらの部分の改正が中心になっていくと考えられます。
 また、現在の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の議論では、特に動物虐待が取り上げられており、動物虐待に関する規制強化が図られると考えられます。
 犬猫の生体展示販売の規制については、2019年の法改正で動物取扱業の遵守すべき飼養管理基準がより厳しくなったという点、憲法で職業選択の自由がうたわれているという点から、法律での規制が中心になっていくというよりは、業界側の自主規制が中心となっていくのではないかと考えています。その中にあって、リーディングカンパニーを志向するAHBの役割は大きいと考えます。
 自主規制の一つとして、遺伝性疾患をもつ犬猫の繁殖制限が挙げられます。国会(消費者問題に関する特別委員会)では、2022年5月に消費者課題に関して、折れ耳のスコティッシュフォールドに関する質問が出されています。今本先生のような遺伝性疾患に関する専門家が近くにいることは、AHBにとって大きいでしょう。アニコムとも協力しながら、エビデンスとなるようなデータを示していき、社会とコミュニケーションをはかっていくということは、AHBの大きな役割になると考えています。
 また、こうした社会とのコミュニケーションは、AHB個社ではなく、業界全体を巻き込みながら行うことが大切だと思います。リーディングカンパニーとして、生体販売業界にかかわる企業との対話を行いながら、業界としての意見を取りまとめていただけると良いと考えています。

■過去のリリース

パートナードッグ&キャット アドバイザリーボードの設置についてはこちら 

情報公開の方針はこちら 

アドバイザリーボード 第1回会議のご報告はこちら 

アドバイザリーボード 第2回会議のご報告はこちら 

アドバイザリーボード 第3回会議のご報告はこちら 

アドバイザリーボード 第4回会議のご報告はこちら 

■本件に関する問い合わせ先

株式会社AHB パートナードッグ&キャット事務局

〒135-0042 東京都江東区木場3丁目7番11

電話番号 03-5809-8227 (パートナードッグ&キャット事務局)

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